cultivation

草生栽培

松坂農園では、普通は邪魔者扱いされる草を味方につけて、
畑に下草を生やす「草生栽培」でみかんを育てています。

生やしっぱなしの「草生栽培」。
そこには大変な苦労が。

一面みかん畑の有田川町。松坂農園の畑はすぐにわかります。グリーン!松坂農園の畑はとにかくグリーン!それは草が一面を覆っているからです。他の畑が茶色い土がむき出しになっているのに比べて、あえて草を生やして育てる草生栽培。除草するのが当たり前の他の農家さんからは「草に埋まっちゃうで」と心配されたこともあったそう。

草を生やしっぱなしでいいなんて、なんだか楽そうな気がしますが、実はとても手間がかかっています。まずは「ええ草」を生やし、「わり草」を生やさない努力。草ならなんでも良いというわけではありません。ええ草を植え、それが繁殖するようにしてあげます。そうしなければ、夏に生えてくるわり草がどんどん伸びます。

そして「草倒し」。草が伸びてみかんに絡まると、虫が登ってきやすくなってしまいます。さらに伸びれば、みかんの成長を妨げることにも。なので、専用の棒を使って、草を倒していく必要があるのですが、これが重労働。気温30度以上の暑い最中に、熱中症対策にも十分気を配りながら、夏中続くこの作業は、「生やしっぱなし」だからこそ、大変なのです。

長時間外で作業するには、欠かせない装備
お母さん、その格好は!?

日光は美味しいみかんが育つのにとても大切な要素。山の斜面にある畑は理にかなっています。ただ、その分浴びる紫外線も相当なもの。長時間外で作業するには、欠かせない装備です。暑くて大変そう!!

ええ草とわり草。

松坂農園では、畑に下草を生やす「草生栽培」でみかんを育てています。普通は邪魔者扱いされる草を味方につけて、みかんの木を守ってくれる「ええ草(良い草)」を生やすことによって、「わり草(悪い草)」を押さえこむこの農法。ええ草の代表としては「ナギナタガヤ」や「ヤエムグラ」「ヘアリーベッチ」など。

ええ草たちは、どれも自然によくある雑草ですが、松坂農園ではええ草が生える秋から冬にかけてあえて種をまいて育てています。それぞれのええ草がその特性を生かして、様々な役割を果たしてくれます。

ただ、伸びてしまうとみかんの木に巻きつき、成長の妨げにも。そのため伸びてきた全ての草を、オリジナルに開発した草倒し棒で撫でるように倒して行きます。

「ナギナタガヤ」や「ヤエムグラ」「ヘアリーベッチ」

長時間外で作業するには、欠かせない装備
松坂農園オリジナル 草倒し棒!

草生栽培を行なっている農家さんはそれほど多くありません。なので専用の道具も売っておらず。そこで開発された「草倒し棒」。作業させてもらいましたが、確かに草はよく寝てくれます!ただなかなか重い、、、そしてとにかく広い!これを畑中とは重労働であることは間違いありません。

草が重なり天然の栄養に。

草生栽培では除草剤を散布する必要がないだけでなく、天然の腐葉土ができることで土壌の微生物も増え、バランスの良い豊かな土になります。

「わり草」の育ってくる春から夏の時期は、毎日が草との闘い。草倒し棒を使って、ええ草を寝かしつけ、わり草を押さえこみます。そうして草の層ができ、それが堆肥となって、豊かな土へと変わっていく。草生栽培を始めてから50年以上、時間をかけて腐葉土の蓄積した土は松坂農園の財産です。